教員になってから1年弱、手間をかけるべき仕事か、簡略化すべき仕事か、自分なりに仕分けをしながら仕事をしてきました。
常に判断基準となっているのは、「80%の成果を上げるのは20%の仕事」ということ。
理想を思い描いて、実際に使える時間を加味して「何を切り捨てるか」ということを考え続けています。
そんな省エネモード、サボり癖はもはや私の性格の構成要素です。
・丸をつけることに意味はないと思う
私の中で簡略化すべき仕事に真っ先に選ばれたのが丸つけです。
問題を解いた本人がやらないと意味がないと思っていますので、テスト以外はしないようにしています。
私自身、小学生の時なら、花丸に一喜一憂したりしていたので、対小学生までであれば、手で丸を丁寧につけていくことに意味があるのかもしれません。
しかし中学生以降、先生からのコメントなどは気にして読んでいましたが、丸かバツかなど、よほど満点を狙っていたとかでない限り、数日後には何の感情も抱かなくなっていました。
つまり、教員の仕事として、単純な一問一答のような問題に対して、正誤を判断して、時間とインクを減らしながら、丸を書いていく作業は、割に合わない作業の一つだと思ったのです。
定期テストは流石に他の科目と足並みを揃えないといけないのでペーパーベースで行っていますが、小テスト等に関しては、私に裁量がありますので
教員になって以来Google formsで運用しています。
丸つけなどの手間をなるべく省いて、爆速で極力大きな成果を上げるために、現状で最適解だと思っている運用方法を紹介します
運用数回目の時に、Google formsと紙で行う方式のどちらがいいかアンケートを取った結果、紙のアナログがいい・どちらでもいいと回答したのは学年で4人のみでした。
ほかの生徒は全員Google forms がいいと回答してくれました。
また、練習用を公開するため、生徒も毎回、「今回も練習用ありますよね?」と確認してくるようになりました。
・小テストの目的
小テストの目的として私は主に3つ設定しています。
①平常点の評価材料
平常点というシステムに対して思うことはいろいろありますが、明確な評価基準で点数をつけたいので、特に高校では小テストのウエイトを高く設定しています。
私自身、高校生の時に態度とか姿勢とか取り組みとかよくわからない判断基準で自分の評価が下されていることに腹が立っていました。
雰囲気とかキャラクターのせいで自分ばかり注意されることに理不尽さを感じ、その教員に対しての信頼感もまるで感じなかった記憶があります。
気を付ける点は2点、
「やれば、とれる」という難易度でのみテストを用意し、生徒の言い訳を封じること。
自分自身も数値的に評価のできない要素(興味を持って授業に参加してくれるなどの印象)での評価をしないように、自分の感情と生徒の成果を切り離すこと。
②定期テスト間のつなぎ
定期テストの間は数か月ありますので、小テストには、生徒に少し負荷をかけたり、定期テストがまずそうな生徒に目をつけたりする役割もあると思います。
複数回の小テストでの成果や取り組みから判断して、定期テストを作成しています。
③地道な努力に慣れさせる
①と共通する部分がありますが、「やればできる」という経験を積み重ねてもらいたいという思いがあります。
言い換えると、「能力が違う」などと大した努力もしてないくせに逃げないでほしいのです。
自分が後者のタイプだったから余計にそう思うのかもしれません。
努力の閾値を高くして、練習量などを可視化できるようにすることで、自分の努力量と結果を客観的かつ定量的に評価できるように設計しています。
「頭悪いから」という逃げ道を封じたいと思いながら行っています。
つまり出す問題も明示して、「やるべきことをやったか、やらなかったか」
という点を生徒にキャッチしてもらいたいともくろんでいます。
そのために、生徒全員が練習さえすれば、満点を取れるほど簡単な難易度にしています。
・Google formsで運用するメリット
①練習量がみられる
本番と全く同じものを練習用として公開することで、テストが近づくと生徒が利用してくれます。
そのデータから生徒がどのくらい練習したのかを知ることができます。
どんなに練習をしても本番以外の点数は反映されないと伝えていますが多い生徒で40回ほど挑戦してから本番に臨んでくれています。
満点を取った生徒の練習量をクラス全員に紹介することで、今まで「要領がよく頭がいい」「自分とは違う」と思っていたクラスメイトが
単純に自分たち以上に努力した結果だったことに気が付いてくれます。
デジタルで運用するメリットは、生徒に手を動かさせ、やった分量が可視化できるしくみが作りやすい点にあると思います。
②丸つけが楽・早い
本番は目視で確認し最終的な点数を出しますが、結果がテスト終了後すぐにみられるということもメリットです。
取り組んでから時間がたってしまうと結果への熱量が下がっていしまいます。
すぐに結果が出ることで、普段点数に一喜一憂しない、勉強への熱量がない層の生徒も結果に多少興味を持っている様子があります。
教員側のメリットとしては、採点の際も点数の計算などもする必要がないので楽です。
③データが蓄積しやすい
結果をスプレッドシートに書き出すことで、データを蓄積できます。
生徒が間違えやすい語句や努力量、進歩などあらゆることにそのデータを運用することができます。
実際に定期テスト作問の際に小テストの結果を見返して、難易度を設定しています。
成績管理のためのデータ入力の手間も省けます。
・デメリット
デメリットとして現在実感しているのは以下の2点です。
①カンニングを取り締まりづらい
iPadで小テストをすることになります。
画面分割などをしてカンニングなど、やりようによっては可能なので取り締まりが難しいです。
これは、机間巡視と、時間制限をシビアにし、問題順をシャッフルすることでカンニングしては物理的に間に合わない状況をつくりだすことで対応しています。
これまで一度も怪しい状況に遭遇したことはありませんが、デジタルであっても
オフィシャルなものであるという雰囲気をつくることに注意を払う必要がありるように感じます。
②漢字が覚えづらい
定期テストの際に実感するのですが、漢字が変換入力で出てきてしまいますので、いざ紙に回答する機会になると誤字が目立ちます。
ペーパーベースで小テストを運用したことがないので、ペーパーベースより明らかに誤字が増えているのかといったことはわかりませんが、間違えやすい漢字などはテスト前に注意するようにしています。
・テスト作成手順
小テストの作成全体のフローチャートはこんな感じです。
少しやることは多いですが、一度設定してしまえば、これから先も使えることを考えて、少し頑張ります。
丸つけの手間も軽くなるので、生徒数が多ければ多いほどメリットは大きいかもしれません。
①Wordに設問入力
Google formsに直接つくることはせずに、いったん文書として小テストを作成します。
運用を開始する際に生徒にアンケートを取ったところ、スマホが自由に使えない、アナログな形で練習したいとの声もあったのでプリントにして配布もしています。
文字入力の手軽さなどから考えてもWordに打ち込んでいくのが一番スムーズですので初めに小テストの大枠をWord上で完成させます。
紙媒体でアナログ小テストをすれば、手間はここまでなんだろうな…
②Google formsの設定
小テストが出来上がったらいよいよGoogle formsでテストを作成します。
ドライブの「新規」>「フォーム」から作成します。
「設定」でテスト形式にして問題を入力していきます。
画面分割(windows キー + ← や windows キー + → ) でWordとGoogleを両方出してコピー・ペーストして作成します。
問題の初めに、出席番号・名前・クラスの設問を用意しておくことを忘れないようにしてください。
これは必須回答をONしておきます。
問題数が多い場合は分野ごとにセクションを区切って問題を設定します。
のちに問題をシャッフル出題する際、同一セクション内でのみシャッフルされるので単元が行ったり来たりして混乱することを防ぐことができます。
解答も設定します。
単語を解答させる場合は記述形式にし、複数の模範解答を設定することも可能です。
配点をつけるのを忘れないようにしておいてください。
解答のパターンがある場合は細かく設定することもできますが、手間になるので、あまりやりすぎず、私は、目視での確認の際に誤答と判断されたもののみ、手動で採点を行っています。
③練習用と本番用に分ける
完成したら、ファイルを複製します。
一つを練習用として生徒に公開します。もう一つを本番用としてテスト本番に用います。
タイムスタンプ(生徒が回答した日時が自動で入力される)機能がありますので1つだけでも運用することができますが、
終了後の指示(iPad片付けるとか)などをテスト終了時の画面に出したりなどの設定もでき、
データも混ざらずに済むので私は本番用と練習用を完全に分けています。
④プリント作成・配布
出来上がったら「送信」からフォームのURLをコピーしQRコードを作成します。
URLをコピーし、
QRコードを作成するサイトへ行き、貼り付ける
私が使用しているサイトはこれ
QRコードを保存し、①で作成した小テストの練習用プリントに貼り付けて印刷し生徒に配布します。
⑤テスト当日
当日はスクリーンに本番用のQRコードを投影し生徒に読み取ってもらいます。
座席が遠い生徒は読み取りができないので、紙でも何枚か印刷しておき、壁や床などに設置して読み取ってもらいます。
テスト中は机間巡視に努めます。
試験中、Google formsのファイルを開いておき、回答の送信が完了した生徒に「〇〇さん、来たよ~」と一声かけるようにしています。
この時、正答なのに、自動採点で誤答と判断されるケースがあり(②の時に、面倒で解答の設定を妥協するため)、質問や確認が殺到します。
オフィシャルなもので、成績にも反映されるから、しっかり手動で採点の確認をするから安心して欲しいということを伝え、静かに待っていてもらいます。
⑥採点・返却
テスト本番のみ採点はスプレッドシートに書き出して目視で行っています。
回答を集計した画面にスプレッドシートに書き出すボタンがあるのでそこから一発で書き出しができます。
回答を目視で確認したのち、点数を最終決定し、その点数を生徒に告知しています。
目視で確認する際は、スプレッドシート上で並び替えを駆使すると誤答と正答がまとまってくれるので、超効率化できます。
どこが間違えたか知りたいという生徒に関しては誤答のセルに色を付けた状態にして生徒に配布しています。
以上が私の小テスト運用方法になります。
定期テスト前にも活用している様子があり、それなりに需要があるのかなと思います。
QRコードを配布するとしない場合に比べて取り組みの回数が2~3倍変わるので、多少手間でもQRまで作ることをおススメします。
それでは!